by ニシムラケイイチ
自分のブログが「誰か」を傷つけている可能性について、考えたことはあるだろうか。
本人に傷つける意図がなかったとしても、あなたのブログによって顔も見たことのない「誰か」が涙を流している可能性について。
読んだ人全員を喜ばせることはムリでも、誰一人、傷つけたくはない。
私がそう考えるようになったキッカケは、シェアハウスについて書いたとある記事で”誰か”を傷つけてしまったからだ。
あなたのブログで傷ついています
それは、当時住んでいたシェアハウスの住み心地について感想を書いた記事だった。
すでに削除してしまって残っていないが、たしか「格安シェアハウスのメリット・デメリット」のようなタイトルだったと記憶している。
Googleでシェアハウスのサジェストワードに”格安”というキーワードがあったので、とくに意識することなくこの言葉を選んだ。
実際、私の住んでいたハウスの家賃は5万円以下だったし、「安いのはいいことだ」と思い込んでいた。
ところが、この記事が思いもよらぬ悲劇を巻き起こした。
ある日、リビングでテレビを見ながらくつろいでいると、同じハウスに住む女性から突然こう切り出された。
「ねぇ。格安シェアハウスって何?」
住人にブログのことは話していなかったので、なるほどブログがバレたのかと思った。
でも、何か様子がおかしい。彼女は明らかに怒っている。
シェアハウスが特定されないよう個人情報にも配慮したつもりだし、住人のプライベートな話を書いていたわけでもないのに、どうしてそんなに怒ることがあるんだろう?
はじめは理解できなかったが、彼女の怒りの正体はすぐに明らかになった。
自分の住んでいる家を”格安”と罵倒されたことに怒っていたのだ。
私には、誰かを、まして住人を傷つける意図なんてこれっぽちもなかった。
格安という言葉は、”品質の割に値段が安いこと”だ。褒め言葉であって決してネガティブな言葉ではない。
しかし、彼女の言っていることもわかる。
自分自身のことについて「安っぽい」と言われて喜ぶ人はいない。
私は、この出来事から大切なことを学んだ。
自分の常識は、他人の常識ではない。
自分の常識をむやみに振りかざせば、意図せず”誰か”を傷つけることだってある。
後日談として、これが直接の原因ではないのだけれど、ブログが原因でシェアハウスを出ることになってしまった。(実名顔出しブログの恐怖!身バレしてシェアハウスから逃げだした話)
ブログを書くということは、その文章を全世界に公開するということだ。
たとえ匿名であっても、あなたのコンピュータはIPアドレスやMACアドレスによって厳しく管理されている。個人を特定する方法なんてものはいくらでも存在する。
誰も傷つけないなんて、もしかしたら不可能かもしれない。
だけど、PVに毒されて、収益のためだけに大切な人を傷つけることを、私は二度としたくない。
どんなに揶揄されようが、目先のPVより、読んだ人のしあわせに貢献する文章を追求しよう。