木村拓哉主演の「A LILE」の4話を見た。

「キムタクはオワコン」とか「視聴率ガタ落ち」とかいろいろ言われてるし、正直3話はそこまで響かなかったんだけど、今回はめちゃくちゃおもしろかった。

「A LIFE」あらすじ

今回の主役は、一流外科医をも凌ぐ知識を持ち、生意気だがたしかな腕で信頼されるオペナースの柴田由紀(木村文乃)。

壇上記念病院の経営拡大のための提携話を進めるため、沖田(木村拓哉)が片山関東病院でオペをすることになった。

沖田は信頼する柴田を連れていくことを条件にオペを受けたのだが、柴田はともに執刀していた片山院長の息子のミスを指摘し、プライドを傷つけてしまう。

それが原因で片山記念病院は提携に難色をしめし、すべてのオペを降ろされることになった柴田は、「医者はナースをアシスタントとしか思ってない。下に見てる。」と自暴自棄になり、ナースを辞めると言いだした。

卑屈になる柴田を見て、事情を知らない沖田は「ナースもやめちゃえば?ナースを認めてないのは医者じゃない。自分自身だろ。」と軽口を叩いてしまう。

実は柴田が卑屈になる背景には、学歴コンプレックスがあった。

父親も医師だったが、医療ミスによって病院をつぶしてしまい、柴田は学費が払えずにしかたなくオペナースになったのだった。

深冬(竹内結子)にちゃんと自分の気持ちを伝えるように諭された沖田は、自分が本当に柴田を信頼していること、自分も学歴コンプレックスで悩んでいたのだという想いを伝えた。

沖田の言葉で自信を取り戻した柴田は、オペナースとして、誇りを持ってオペに取り組むようになった。

自分を認めるって、簡単なことじゃない

今回の作品で僕の心に響いたのは、沖田が柴田にかけた言葉だ。

「自分のことを認めるって、簡単なことじゃないと思う」

そう。

自分を認めるって、簡単じゃない。

だから人は、華やかな服やアクセサリーで着飾り、学歴や資格で武装したがる。

自分より持っている人間を羨んだり、持っていない人間に優越感を感じたり、自分を卑下して自暴自棄になる。

僕は、大学を中退した。

東大や早慶にはかなわないけど、受験生ならだれもが憧れるような大学だ。

入学したてのころの僕は、自惚れるくらい、自分のことが大好きだった。

だからきっともっと堂々としていたし、学校も仕事も恋愛もすべてが順調だった。

大学を辞めてから、僕は自分のことが嫌いになった。

卑屈になった。

中退した自分を、自分に認めさせるために四苦八苦してきた。

なにかすごいことをしなきゃ、すごいって言われるようなことをしなきゃ、中退した自分が報われないような気がしていた。

中退したのに大学の看板をいまだに下ろすことができないのも、やっぱり「すごい」と思われたいからなんだろう。

学歴がまったく関係のない板前の世界に飛び込んでみたりもした。

だけどちがう世界に飛び込んだって中退した事実は消えないし、「すごい」と思われたい欲望から逃れることはできなかった。

実業家、斎藤一人さんは、これを「すごい」地獄と呼ぶ。

「テレビで、ある有名な経営者が『会社をつくってから、1日も楽しい日がなかった』って言ってたのを見たことがあるんだけど、あれなんか、苦しさを追っかけちゃった典型なんだよ。

目標ばっかり追っかけて、次の目標に行くことが自分の生きている証みたくなっちゃった。

すると、今度は自分と一緒に走る人を巻き込んでいくんだよね。

ネズミの暴走と同じ。

やがて海に出てみんな溺れ死ぬんだけど。

つまり楽しんでないんだよ。

目標を達成することだけを楽しむようになる。

目標がないと生きられなくなっちゃうんだよね。だから数字だけを見て、数字だけを上げてくんだ。

次はいくら、次はいくらって。だから、その社長はキリキリしどおしだったって」

引用:斎藤一人の道は開ける

人からすごいと思われるのは、たしかに気持ちがいい。

僕は塾講師もしていたけど、生徒たちから先生、先生と呼ばれると、なんとも言えない高揚感がある。

だけど、すごいと思われるだけが人生の楽しみになると、だんだんと窮屈な人生になってしまう。

すごいと思われない自分を卑下してしまう。

地元の人たちから愛されるおいしいパンを焼くパン屋さん。

毎朝駅前で子どもたちに「おはよう」と声をかける警備員さん。

みんなからすごいと言われなくても、かっこよくて幸せそうに生きている人はたくさんいる。

一人さんは言う。

「……もう一度言うけど、『すごい』って言われることだけを追っかけるのは苦しみが多いんだって覚えておけよ。それより、どうせ追いかけるんだったら人の笑顔だよな。人の喜びを追っかけていたら人生ってとっても幸せなんだよ」

引用:斎藤一人の道は開ける

「すごい」を追いかけるかわりに、「笑顔」を追い求めてれば、人はもっと楽しく生きることができる。

僕も一人さんのように、自分の文章を通して、「すごい」ではなく、どこまでも「笑顔」を追いかける物書きになりたいと思う。