ぶちくらす。北九州に引っ越して困った方言のこと

kitakyusyu

引っ越すといろいろ大変なことってありますよね。友だちはもちろん、知り合いは身内だけで、とても心細いものです。

僕は、小学3年生のとき、海を渡って北九州市に来ました。それまでは、関東の、山梨県甲府市という所に住んでいました。風林火山、武田信玄の郷ですね。

山梨県から九州って、直線距離でも1,000キロ離れています。大人にとっては引っ越しですが、子どもにとっては、まさに旅、大冒険でした。

そうして、はるばるやって来た北九州なのですが、ひとつ困ったことがありました。それが方言です。

山梨県も方言がキツいのですが、基本的にスローなんですよ。そうずら〜、そうけ、など、ちょっと風変わりですが、イントネーションはおしなべて、まろやかです。

ところが、北九州弁は早いんですよ。イントネーションは標準語に近いのですが、早口で語感が激しい。僕の好きな女子も、うる星やつらのラムちゃんみたいに、語尾に「〜ちゃ」をつけて早口でした。

なので、引っ越してきた当初は、学校へ行っても、誰とも会話できなくて、とても寂しい思いをしました。

大人になった今でこそ、自分が九州弁を話すのに抵抗はありませんが、子どもの頃はダメでした。みんながその地の言葉で話しているのに、自分だけ違う言葉(方言)を話すのは、とても勇気のいることなんです。

また、北九州弁には、穴をほがす(穴を開ける)庭をはわく(庭を掃く)でたん激しい(すごく激しい)など、いろいろあるのですが、僕が恐怖したのは「ぶちくらす」なのです。

この「ぶちくらす」ちょっと前、北九州のサッカーチームのサポーターが、応援で使って問題になりまして、ご存知の方もいるかも知れません。

北九州弁の「ぶちくらす」

「くらす」には、叩くという意味があって、ぶちくらすは、その上位互換の形体です。意訳すると「強く叩くぞ!」って感じでしょうか。

これを北九州の子どもはよく使うんですよ。絶対にぶちくらしちゃるッ!って感じです。

今は笑えるんですが、小学生のころは、嫌で仕方ありませんでした。どうも「ぶちころす」に聞こえてしまうんですよ。

使ってる子どもにとっては「ケンカしてやっつけてやる!」みたいな、勇ましいニュアンスなんですけどね。

そんな小学生時代でしたが、次第に慣れていって、半年くらいで馴染むことができました。そういう面では、子どもの方が、新しい環境への順応性が高いのかも知れませんね。

今では、僕もすっかり北九州弁になっています。ただ、自分が方言を使っている意識はちゃんとあるんですよ。方言を二つ知っていると、言葉のどこが方言なのか、わかりやすくなります。

ぶちくらすは、衝撃でしたが、好きになった方言もあって、それが「食べり」です。

「食べてくたさいな」「召し上がりになりませんか?」というニュアンスです。

僕はこの「食べりー」の方言が好きで、他の地域から来た方へよく使っています。

ただ一度、広島から来ていた学生さんに言ったら、怪訝な顔をされてしまいました。理由を聞くと「食べろ」という命令口調に聞こえたらしいです。

方言って難しいですね。

皆さんが、もしも北九州へ来たら、みんな怒ってるのかな? と感じるかも知れませんが、そうじゃないので安心してくださいね。

ABOUTこの記事をかいた人

チルド

1975年生まれ。福岡県在住。2003年よりウェブライターとして活動。自身のブログ「散るろぐ」は、はてなブログで約1500人の読者登録数を持つ人気メディア。