人気ブログ「わかったブログ」を運営する、菅家伸さん(かん吉さん)の『ゼロから学べるブログ運営×集客×マネタイズ 人気ブロガー養成講座』を読んだのでご紹介。
読み終えるまでにずいぶんと時間が掛かってしまった。
続きを読むのがもったいなかったからだ。
大好きな小説や漫画を読んでいるとき、お話が終わってしまうのがイヤでチビチビと読み進めることがあるが、それとまったく同じ。
でも、ビジネス書やノウハウ本で、ましてブログのノウハウ本でこんな気持ちになるなんてはじめてのことだ。
付箋まみれになってしまい大切じゃない部分を探すほうが大変なくらいだが、今回はとくに刺さった部分をいくつか抜粋していこう。
稼ぎたいならお金ではなく読者のためだけに記事を書きなさい
収益化すると成長が止まる
本書の中で一番共感したのが収益化に関する考え方だ。
もともとお金を目的にサイト運営をやっていたかん吉さんは、ある主婦ブロガーさんとの出会いをキッカケにブログの運営方針が180度変わった。
通常のアフィリエイト記事は、ポストしてもすぐには売れず、しばらく時間を置いてから検索経由でポツポツ売れはじめる。
しかしその主婦ブロガーさんの場合、オススメ商品を紹介した記事をポストした瞬間にどんどん売れはじめ、ときには数千個売れることもあったという。
それでお金を稼ぐよりまずファンを作ることが大切だと気づいたかん吉さんは、広告をすべて外して読者の役に立つ記事を書くことに努めた。
そこから一気にブログのファンが増えたのだそうだ。
LINEやアメブロ(サイバーエージェント)の戦略を例にとった「収益化すると成長が止まる」という話も興味深かった。
何でも屋さんは何も無いのと同じ
看板に大きく「蕎麦」と書かれた店と、「そば カレー ラーメン」と書かれた店だったら、どちらで蕎麦を食べたいと思うか。
なんでも屋さんは何も無いのと同じ。
中に入ったらカレーも売っているのはいいが、看板では一押しメニューをアピールする。
ブログタイトルのつけ方に関するこの例えはとくに秀逸だ。
ボクもブログタイトルには散々頭を悩まされて何度も変えてきた。
あれもこれもキーワードを詰め込みたくなるものだが、読者目線で考えると、何が書かれているのかひと目でわかるタイトルのほうが安心感も増すのだろう。
ブログを差別化する3つの軸
本書ではブログを差別化するための軸として、次の3つが紹介されている。
- 読みやすい「手軽軸」
- 記事の質で勝負する「商品軸」
- 読者とのコミュニケーションを大切にする「密着軸」
このうち、わかったブログでは大企業や個人事業主としての経験を活かした商品軸で勝負しているという。
勝手なイメージだが、手軽軸はたとえばコグレマサトさんの「ネタフル」のようなブログが代表される。
また最近は、TwitterやFacebook上で仲間を作って運営する密着軸のブログが増えているような気がする。
ボクはみんなでワイワイ盛り上がるのはあまり得意ではないので、やはり職人気質な商品軸で勝負したい。
かん吉さんのような豊富な経験はないが、セールスマンがみんな自分に自信を持っているわけではない。
自分なりのやり方で記事の質を高めていこう。
やりたくないことリスト
ブログのコンセプトを決めるには、自分という人間を棚卸ししてみるのがいい。
やりたいこと(好きなこと)とやりたくないこと(嫌いなこと)を書き出してみる。
やりたいことだけを書き出すと、無意識にやりたくないことまで内包してしまう可能性があるので、最初に「やりたくないことリスト」を作って自分の”嫌い”を認識しておく。
かん吉さんのやりたくないことリストを参考に、ボクは以下のようなやりたくないことリストを作った。
- 酒、飲み会
- ネットの情報を寄せ集めるだけの書き仕事
- 愚痴や悪口、他者を批判するブログ
- ときめかない仕事
- 都会での生活
- 時間に追われる生活
- 流行りものばかり追いかけるブログ
- 貧乏
- 中身のないコンサルティング業
- 実態のないサロン運営
ブログタイトルは商品名より快適な未来
SEOを意識してブログタイトルに商品名をつける人は多いと思うが、読者がその商品名を知らなければスルーされてしまう可能性が高い。
だからタイトルでは「その商品を使うとどんな素敵な未来が待っているか」を伝える。
かん吉さんは、奥さんから指摘されたのがキッカケでこのことに気づいたのだそうだ。
実はブログではないのだが、「未来をイメージさせる」トークはウォーターサーバーの営業をやっていたときにかなり役立った。
お客さんにいくら商品の機能を説明をしたって全然響かなくて、「ウォーターサーバーがあるとこんなに生活がラクになるんですよ」というイメージを共有できると抜群に刺さる。
ブログの記事を書くときにも、「未来のイメージの共有」はとくに意識している。
グルメ記事で「おいしい」はNG
本書では、書評記事やレビュー記事、グルメ記事などの書き方がジャンルごとに詳しく解説されている。
なかでもとくにグルメ記事で「おいしい」と書かないという話は勉強になった。
おいしいという安直な言葉を使わず、いかにおいしいという感情を表現するか。
おいしいという言葉に逃げないことで、文章に厚みを持たせることができる。
繊細でクリエイティブな仕事だし、表現を創造することはライティングの醍醐味だろう。
自分の成長をコンテンツにする
自分の成長は、ブログの一番のコンテンツになる。
成長を描くためには、挑戦しなくてはならない。
挑戦していく過程の気づきや発見をブログにポストすることで、同じように挑戦する人の励みにもなるし、書くことで目標が実現する可能性も高まる。
日記をノウハウ記事に変身させる4行フォーマット
起こった出来事を時系列に並べただけの日記を、ノウハウ記事に変身させる魔法の4行フォーマット。
- 事実
- 気づき
- 教訓
- 宣言
最近ブログを書くときには、いつもこの4行フォーマットと、レビュー記事の項で紹介されていたフォーマットを使わせてもらっている。
たとえば、
- THERMOSの真空断熱タンブラーを買った。
- 中身はいつまで経っても冷たいままで、ただの炭酸水も美味しく感じられる。
- 少し高くてもいいモノを買ったほうが生活の質が上がる。
- 安物買いの銭失いはやめよう。
みたいに、はじめに4行書いてから、ブログを書きはじめる。
そうすると、決められたゴールへ向かって地図を持ちながら旅をしているようなもので、迷うことなくすんなりと執筆をすることができる。
定期更新で固定ファンを増やす
完結型のWebサイトと違って、ブロガーはランナーのように常にブログを更新して走り続けなければならない。
本書では、不定期更新するより、週に1回でも定期更新をするほうがファンが増えると解説している。
読者層にもよるけれども、ブログがとくに読まれやすいのは、朝9時、昼12時、夕方5時だ。
アメブロやはてなブログのようなSNS一体型のブログサービスなら記事を更新するだけで読者に通知されるが、WordPressの場合は更新しただけでは気づかれない可能性がある。
必ずTwitterやFacebookなどのSNSでも更新をお知らせするようにしよう。
ページビューは目標にならない
ブログをやっていると、ついついPV(ページビュー)を目標にしがちだ。
しかしPVは予測が立てづらい。
それにPVばかりを追いかけていると、本来の目的を見失って書きたくない記事も書いてしまうかもしれない。
だから目標は、「今月は◯記事書く」「書評を週に1記事書く」のように具体的な行動を設定する。
同じ理由で、収益を目標にするのも個人的にはオススメしない。
魅力的なプロフィールを書く3つのコツ
一般的なWebサイトと違って、ブログでは誰が書いているかがとくに重要だ。
魅力的なプロフィールを書くコツは、
- 書けることは何でも書く
- V字回復ストーリー
- 実績を公開する
ボクもたまに「プロフィールを読んで、◯◯の部分が自分と似ていて共感しました」というようなメッセージをいただくことがあるが、何かひとつでも共通点があるとファンになりやすいらしい。
だからプロフィールはなるべく詳細に書いたほうがいい。
そういえばプルデンシャル生命のトップ営業マン 川田修さんも、著書『かばんはハンカチの上に置きなさい』の中で、名刺の裏に家族構成や趣味、出身大学などパーソナルな情報を刷っているとおっしゃっていた。
言いたいことは何度でも書く
ブログ型のWebサイトの最大の弱点は、過去記事がどんどん流れていって埋もれてしまうこと。
だから言いたいことは切り口を変えて何度でも書く。
これもボクはできていなかった。
「一度書いたらもう書いちゃいけない」みたいなルールはないので、ネタに困ったら自分の過去記事を漁ってみるのも有効だろう。
コメントフォームで滞在時間を伸ばす
コメントフォームを設置するメリットは、コメントもコンテンツになって読者の滞在時間が伸びること。
読者の滞在時間が伸びると、Googleの評価も高まる。
ブログのブランドを傷つけるようなネガコメは否認すればいい。
滞在時間という視点でコメントフォームの必要性を考えたことがなかったので、これは意外だった。
もちろん速攻でコメントフォームを設置。
過去記事へのコメントフォームの設置方法がわからなくてググったら、偶然かん吉さんの記事が出てきて二度びっくりした。
▽参考リンク
WordPressの過去記事コメントフォームを、一括して「有効」にする方法
ブログからミニサイトへ派生する
ブログで特定カテゴリの記事が溜まってきたら、記事を元にテーマを限定した小規模なミニサイトを作成する。
ミニサイトは収益性が高いので、ブログと補完しあうと効果が高い。
ミニサイトは今後挑戦したいことのひとつだ。
かん吉さんのブログには、WordPressの無料テーマを使ったミニサイトの作り方を詳細に解説した記事も掲載されている。
▽参考リンク
誰でも作れる!無料WordPressテーマを利用した、ミニサイトの具体的な作り方
まとめ
本書が出版されたのは2016年10月31日だ。
ボクが購入した第5刷が発行されたのも、2018年3月15日のこと。
発売から2年近く経って、なぜ今さら本書を読もうと思ったのか。
かん吉さんは有名ブロガーだし、かん吉さんが制作したサービス「カエレバ」「ヨメレバ」も利用させてもらっているので、もちろん本書のことも知っていた。
でも、やたら長くて”×”のような記号も入ったタイトルがどうも読みづらく、いまいちボクには刺さらなかったのでずっとスルーしていたのだった。
ところが、先日たまたまジュンク堂で見かけてパラパラとページをめくっていたら、読むページ読むページ目からウロコで、本来買う予定だった本を差し置いて本書を購入していた。
もっと早く手にしておけばよかったと、どれだけ後悔したことか。
最後に、ボクが本書を読みながら大切だと感じた部分に貼った付箋を見ていただきたい。

「どれだけ本書を気に入ったか」これ以上文字を重ねるより、ずっと説得力があるはずだ。