・大人になってはじめてインフルエンザになった
・高熱が想像以上にツラくて地獄だった
・独身ひとり暮らしはライフラインの確保を
大人になってはじめてインフルエンザに掛かった。
子供の頃の記憶は定かではないが、少なくとも上京してから発症したことはなかったはず。
1月20日に発症して、21日に病院へ行き、ようやく通常の生活が送れるくらいまで回復した。
「インフルエンザくらい大したことはないだろう」
そう高をくくっていたが想像を絶する地獄だったので、しっかりと記録して来年以降の戒めを残そうと思う。
インフルエンザ以外ありえない
大人になってはじめてインフルエンザを経験したわけだけれど、病院に行く前から普通の風邪ではなくインフルエンザに掛かっているという自覚があった。
明らかに今まで体験したことのない症状だったからだ。
20日の日曜日は元々、秩父方面をブラブラする予定だった。しかし朝起きてみるとなんだかちょっと身体が重い。
そういえば喉も少しイガイガしているかも?
別に誰かと約束しているわけではないし、寒い中ムリを押して風邪を引いてしまってはいけないと思い、予定を延期することにした。
異変に気づいたのは、お昼前に買い物に出たときのこと。
どうも顔が熱い。
咳が出ているわけでもなく、頭痛がしているわけでもなく、風邪っぽい症状はとくに無いのに首から上がポカポカしている。
しかしこの時点ではまだ風邪の初期症状を疑っていて、とりあえず薬局で一番値段が高くて効きそうな風邪薬と熱冷ましシート、のど飴、ポカリを買い込んで家へ帰った。

薬を飲んで少し寝ればよくなるだろうと布団で横になったのだけれど、目が覚めたとき、それは確信に変わる。
先ほどよりも明らかに、顔が熱く、頭痛が激しくなっている。
そういえば体温計がないことに気づいて、重い身体を引きずりながら買いに走り体温を測ると・・・38度超え。
念のためにインフルエンザの初期症状をググってみたが、急な高熱や節々の痛み、吐き気などらしい。
ははーん。これは、やっちまったなあ。
まるで第3志望の入試の合格発表を待っているような、よほどのことがない限り決まりでしょという達観した気持ち。
22時過ぎにはきっちり39.4℃をマークし、あとはインフルエンザの宣告を受けるのみとなった。
病院で意識が飛ぶ寸前に
翌朝は5時過ぎには目が覚めていたように思うが、とくに何をするわけでもなく病院が開くのをじっと布団の中で待っていた。
9時過ぎに布団を出たときに、自分の体調が想像以上に悪化していることに気がつく。
立ち上がって歩こうにも足元がおぼつかず、自転車を漕げばペダルが怖ろしく重い。重力が3倍の異世界に飛ばされたのかと錯覚するほどだ。
えっちらおっちら病院へ辿り着いたはいいが、はじめて訪れる小さな町医者の月曜日の待合室は、自動ドアが空いた瞬間熱気を感じるくらいには人がひしめき合っていた。
他を当たろうかとも一瞬悩んだが、もはやそんな気力は残されていない。
当然座れる席なんてないので、受付を済ませて壁にもたれながら立っていた。
5分くらい経っただろうか?
突然世界がグニャグニャに歪みはじめて、目を開けているのに視界にモザイクが掛かったような状態に。
吐き気でものすごく気持ち悪い。
それでも我慢して耐えていると、そのうちモザイクがどんどん濃くなってきて、
「ヤバい。(意識が)落ちる。」
というところまでいって慌ててその場に座り込んだ。

夏の日の校庭でやる小学校の全校朝会でよくぶっ倒れる児童がいたが、こんな感じだったのかな?
立ったまま意識が飛び掛けるなんて経験生まれてはじめてだったので、これは衝撃的だった。
さすがに「インフルエンザはやべえ」と認識を改めざるを得ない。
あとは完全になるがまま。というかあんまり記憶も定かじゃない。
A型のインフルエンザだと診断されて、薬を処方され、アクエリアスと菓子パンを買ったらすぐに帰ってきた。
ゾフルーザという新薬と解熱剤を飲んでパンを少しかじったら、そのまま布団の中へ。
身体が痙攣し玄関をドアから這いずり出る
本当にしんどいのはココからだった。
たしか15時くらいだったと思うが、突然身体が痙攣しはじめる。
暖房が効いているはずなのに、身体がガクガク震えて、次第に息も荒くなり発作のような状態になった。
すぐに治まるだろうという予想に反してずいぶん長かったと思う。
そのあと少し落ち着いてから、トイレに立ったときだった。
便座に座って少し経った瞬間、これまでの人生で感じたことがないような、頭痛や吐き気や朦朧状態が一気に押し寄せてきた。
「マジでヤバい。このまま気を失ったら戻ってこれないかも」
ボクという人間が持つ最大最強レベルの警報ベルがけたたましく鳴り響き、ズボンも半分ずり下がって下着を濡らした状態のまま、
「あぁ〜、助けて〜」「ヤバい、死ぬ」
と情けない声を出しながら玄関をこじ開けて外へ這い出た。
エレベーターホールの前で、声にもならない声を発しながら虚ろな目で床をうごめく肢体。その姿はさながら地を這うゾンビだったろう。
幸か不幸か誰も通らなかったが、もし誰かが見かけていれば、そのまま救急車で病院へ搬送されていたはずだ。
これが今回のインフルエンザのクライマックス。
あとは死んだように数日間を布団の中で過ごした。

食事は、月曜日の朝に食べたパンを最後に、固形物は一切受けつけない。
水曜日に熱が下がったのでちょっと食べてみようとしたけどやっぱりダメで、便通も下痢を通り越して水しか出なくなった。
木曜にようやくゼリーが食べられるようになって、金曜には普通の食事も摂れるようになったけどやっぱり気持ち悪くて箸が進まない。
“風邪を引くと食欲が落ちる”って話は迷信だと思っていたのだけれど、どうやら本当らしい。
あとは節々の痛みもツラかった。全身がひどい筋肉痛のような状態で外出はもちろんトイレに行くことすららままならなかった。
まさか”たかが”インフルエンザで死を意識するほどに苦しむことになるなんて。
独身のひとり暮らしは怖い
多少悲劇的な表現になった部分はあるかもしれないが、病院の待合室で意識が飛びかけたのもマンションのホールを這ったのも事実で、誇大や虚言はない。
あの痙攣は何だったんだろう。ゾフルーザの副作用だろうか。
今回処方してもらったゾフルーザは、タミフルなどの既存薬に変わるインフルエンザの治療薬で、一回の服用で済むので使いやすい。
「タミフルより値段は高いけどよく効く薬が出たんです」
ということでオススメされ、ボクも迷わずゾフルーザを処方してもらった。
その利便性から非常に人気のようだが、新薬のため安全性を不安視する声もある。
実際この文章を書いている最中、たまたま“ゾフルーザで薬が効かない耐性ウイルスができやすくなる”という記事が目に飛び込んできた。
飲んでしまったあとなのでどうにもならないことだが、インフルエンザに掛かったら薬を精査している余裕なんてない。
お医者さんの言葉に従うだけだ。
だからこそ、値段が高い以外のデメリットも聞いておくべきだった。
しかし今度のことで一番強く感じたのは、
独身のひとり暮らしは怖い!
ということ。
今回はたまたま助かったが、もし本当に自宅で意識不明なんてことになったら、そのまま誰にも気づかれずに悪化して最悪の事態になることだって十分考えうる。
まともな会社員であれば、無断欠勤ということになれば心配して上司や同僚が自宅へ訪れるだろうし、会社という存在自体が一種のライフラインになってくれるだろう。
でもフリーランスのブロガーみたいな、人と関わることがほぼ皆無なやくざな職業に就いている人間は、自宅で何かあった際にそのまま絶命する可能性が極めて高い。
だから田舎の家族や友人知人など、頻繁に連絡を取り合うライフラインを自分で作っておく必要がある。
パートナーを見つけてさっさと結婚でもすればもっと話は早いのだけれど、それができたらそもそもこんな話にはならないわけで。
たとえばPCに24時間以上ログインがないと外部に警報を発するようなシステムを導入するとか、若年層向けの見守りサービスみたいなものもある。
でもある程度保険は必要だと思うけど、あとは受け入れるしかないのかな。環境も含めて寿命なんだって。
とりあえず、今年から(翌年のインフルエンザ対策として)予防接種を受けるのを自分に義務づけよう。
めったに掛からないんだろうけど、掛かったときのリスクがあまりにでかすぎる。