【書評】『沈黙のWebマーケティング』松尾茂起著/Web担当者の必読入門書!

松尾茂起著『沈黙のWebマーケティング』を読んだのでご紹介。

沈黙のWebマーティングは、株式会社Webライダーの代表 松尾茂起さんが書いたWebマーティングの入門書だ。

Webライダーといえば業界で知らない人はいないくらい有名なWebコンサルティング会社で、とくにSEOとコンテンツマーケティングの分野ではジャンルを問わず圧倒的な実績を残している。

また賢威文賢バナープラスなどWebマーティングを強力にサポートするWordPressテンプレートやツールの開発でも評判が高い。

沈黙のWebマーティングは、Webライダーが「なぜ”たった数記事で検索1位”を穫れるのか」を、つまりSEOとコンテンツマーケティングにおける成功の秘訣を知ることができる点でも価値が高い。

本格的な漫画ノベル+わかりやすい解説で構成されているので、「Webの知識に自信がない」人や「分厚い専門書は読みたくない」人でも楽しく読める。

世界最高のWebマーケッター 片桐ボーンが傾きかけたオーダー家具店マツオカを救うサクセスストーリーを読み終える頃には、あなたには同僚にWebマーケティングを語れるくらいの知識が自然と身についているはずだ。

今回は本書の中でもとくに勉強になった部分を3つ、ボクの感想も交えながらピックアップ。

それではさっそくはじめよう。

カッコイイだけのサイトと売れるサイトは違う

マツオカのWebデザイナー高橋は、マツオカのサイトを見たボーンから

「お前はデザインとアートを混同している」

と指摘される。

そしてWebサイトから家具を購入するお客様の気持ちを知るため、自分でもデスクを購入することになった。

デスクの費用はマツオカからボーナスとして支払われるが、マツオカ以外のWebサイトも比較してどこで買うかを決めるのが条件。

自分の作ったWebサイトのデザインに絶対の自信を持っていた高橋だったが、悩んだ挙句選んだのはマツオカよりもずっとシンプルでダサいサイトだった。

高橋が作ったのは、写真が中心で文章はほとんどない、たしかにカッコイイしイケているサイトだった。

でもいざ商品を買うときには、必要な情報(文章)がない上に人の気配がしないので不安な気持ちになってしまう。

反対に高橋がデスクを購入したサイトは、少しくらいダサくても欲しい情報がきちんと書かれていて安心を感じることができる。

この経験を通して高橋はカッコイイだけのサイトと売れるサイトは違うことを知った。

アートとデザインの混同・・・。

まるで自分のことを言われているようでグサッと胸に突き刺さった。

ボクの中には常に、作家としての自分と商売人としての自分が同居している。

作家のボクはエゴが強く、読者に媚びを売ることも嫌うアーティストだ。

商売人としてのボクは八方美人で、読者の心を動かすのがうまいデザイナー。

両者はいつも喧嘩をしていて、結果どっちつかずな中途半端な文章が出来上がってしまう。

沈黙のWebマーケティングを読み終わったあとでもやはり、アーティストの自分はボクの中から出ていこうとはしなかった。

少なくとも文章以外の部分においては、読みにきてくれた人に最大限寄り添ったデザインを目指そう。

あるいは100%商売人の自分が作るサイトを立ち上げるのもひとつかもしれない。

言葉やストーリーで夢を見せ、写真や動画でリアル感を伝える

本書では、売れるセールスレターの書き方についても詳しく解説されている。

ブログやアフィリエイトをかじった人からすれば、

セールスレター=情報商材を売りつけるための縦長のウザい文章

というイメージがあるかもしれないが、元々はダイレクトレスポンスマーケティングの世界で使われていた歴史のある概念だ。

ダイレクトレスポンスマーケティング(DRM)は、1961年にレスター・ワンダーマンが提唱したマーケティング手法で、大衆向けのマス広告とは違い、商品を売ることではなく商品を売る見込み客を見つけることを目的としている。

セールスレターを書くときに大切なのは次の3つ。

  1. お客様をワクワクされる文章
  2. 客観的な情報
  3. リアル感が伝わる写真や動画

1のワクワクさせる文章は、手紙を書くような感覚でお客様の心を動かし購入につなげる。

2の客観的な情報は、たとえばお客様の声や販売実績などで客観的な信頼性をプラスする。

3のリアル感が伝わる写真や動画は、商品やサービスの存在を視覚的にアピールする。ただしリアル感とリアルは違う点には注意。生活感がありすぎる写真でお客様を夢から現実に完全に引き戻してしまったらモノは売れない。

書いていて気づいたが、セールスレターの手法ってリアルセールスの手法とまったく一緒だ。

ボクは以前ウォーターサーバーの対面営業をやっていた。

  • セールストークで「ウォーターサーバーがあれば、こんなにハッピーな毎日が送れますよ」というイメージをふくらませる
  • 「◯◯受賞したんです」「他社より◯◯円安いんです」と客観的な情報によって信頼感を担保する
  • 実際にウォーターサーバーに触れてお水を飲んで頂いてリアル感を深める

もちろん細かい条件は一人ひとり違うが、だいたい上のような流れでウォーターサーバーは売れていく。

当時は気づかなかったがやっぱりまったく一緒だ。

ボクのブログはPVの割にアフィリエイト収益が多いほうなのだけれど、やっぱりリアル営業の経験が少なからず活きているのかもしれない。

Twitter運用攻略のカギはメンション(@)にあり

ブログには大きく分けて無料ブログとWordPressブログがある。

アメブロやはてなブログのような無料ブログはユーザーのコミュニティを持っており、ブログ自体がSNSとしての機能も備えている。

ところがWordPressは別名”陸の孤島”に例えられるくらいインターネット上で孤立した存在だ。

だから自分のブログやWebサイトに人を呼び込むためには、TwitterやFacebook、はてなブックマークなどのSNSを効果的に運用しなくてはならない。

SNSを運用するというとついつい「役に立つ情報を発信しなくては」と考えてしまいがちだが、役立つ情報を発信するだけがSNSのフォロワーを増やす方法ではない。

メンション(リプライ)やリツイートなどを使って積極的にユーザーとコミュニケーションを取るようにする。

あえてほかのユーザーの聞き役に回ることで、返報性の原理が働いてフォローしてもらえたり自分のコンテンツをシェアしてもらえる可能性が高まる。

賑わいを演出することで絡みやすい空気感を出すことも大切。

はじめは自分のツイート3割、フォロワーとのコミュニケーション7割くらいの割合で運用し、2ヶ月3ヶ月と経ってから徐々に自分のツイートの割合を増やしていく。

この話はとくに響いた。

というのも、WebライダーのとあるTwitterアカウントの運用方法がまさに上のテクニック通りだったからだ。

とあるキャラクターとはWebライダーが運営する人気ブログ「ナースが教える仕事術」の新人ナース 山下リコさん(@riko_yamashita)。

リコさんは架空のキャラクターなのでこの世には実在しない。

しかし人間以上に人間味のあるキャラクターで、5,000人近いフォロワーを抱えているのにTwitterをはじめたばかりのユーザーにも気軽に絡んでくれる

本書を読んだことで山下リコさんというアカウントの裏側が垣間見えて、彼女が一層魅力的な存在に感じられた。

同時にSNS運用に苦手意識を感じていた自分でもこれならできるかもしれないと勇気が沸いてきたのも、本書を読み終えた大きな収穫だ。

追伸、Webマーケティングは一人でも実践できる

ボクは会社組織に属してWebマーケティングをやった経験はないんですよね。

だからそういう経験や実績をお持ちの方に対して引け目を感じてしまうことがあります。

でもボクだって、あなただって、ブログやWebサイトの運営者としてWebマーケティングをやっているわけです。

たとえ企業での肩書きがなくても、ブログのアクセスアップや集客の方法を探求するあなたは立派なWebマーケッター。

幸い本屋に行けば『沈黙のWebマーケティング』のような示唆に富んだ本を手に入れることができます。

沈黙のWebマーケティングには続編の『沈黙のWebライティング』もあります。

どんどん勉強して、ブログを輝かせる一人Webマーケティングを実践していきましょー!