六本木タツヤさんの『本気でやせたければお酒をやめなさい』を読んだのでご紹介。

ボクは現在ダイエット中で、また前々からお酒を完全に断ちたいと思っていた。

キッカケは禁煙本のベストセラー、アラン・カー著『禁煙セラピー』だ。

禁煙セラピーを読んで見事に禁煙には成功してその効果に脱帽し、喜び勇んで姉妹書の『禁酒セラピー』も読んだのだが、残念ながらお酒をやめることはできなかった。

空前の禁煙ブームにあって禁煙本はいくらでも見つけることができるが、こと禁酒という話になると、Amazonで検索してもほとんど出てこない。

そんな中で見つけた本書。

Kindle本でボリュームも少なかったので、スマホでさくっと読むことができた。

禁酒はボクの憧れだった

そもそもなぜお酒をやめる必要があるのかと疑問に思うかもしれない。

それは端的にいえば憧れだ。

ボクには「こんな風に生きられたら」と生き方に憧れている人物が数人いて、何の接点もないはずなのに、憧れの人物たちはことごとく酒を飲まない禁酒主義を貫いている。

憧れの人物には存命の人物も歴史上の人物も含まれるのだけれど、たとえば明治維新に多大な影響を及ぼしたカリスマ教育者 吉田松陰も、酒・タバコを一切やらない人物だったという。

自分には憧れの人物たちの器はないかもしれないが、それでもせめて真似できるところは真似して少しでもいい人生にしよう」というのが断酒の動機だったりする。

たぶん禁酒がブームになるのは、まだあと50年とか100年先の話だと思う。

ほとんどの医者が酒を飲むから酒の正当性を主張しようとするし、ほとんどの政治家が酒を飲むから禁酒の法整備はまったく進まない。

ほとんどのメディアは巨大なアルコール産業がスポンサーについているので、飲酒運転で捕まった芸能人を断罪しても、酒そのものの危険性を語ろうとはしない。

ドラマにも映画にもCMにも、いたるところにアルコールのステルスマーケティングがひそんでいる。

そんな時代に酒と縁を切る生き方は、完全なるマイノリティだ。

でもだからこそ、おもしろい。

普通の人生なんてつまらない。

「あいつ変わってるよな」といわれるようなちょっと変な人のほうが、案外人生を楽しんでいたりするものだ。

だからボクはお酒をやめたいと思っていた。

不本意ながらお酒を”やめられて”しまった

不本意ながら、お酒を”やめられて”しまった。

本書を読んだボクの率直な感想だ。

文章がうまいとも思わないし、過激な言葉で煽りまくる炎上ブロガーの駄文を読んでいるようで、終始気分が悪かった。

はじめからおわりまで、お酒を飲む人間への暴言と、お酒をやめた自分の自慢話のオンパレード。

はっきりいって胸くそ悪い本だった。

やっぱり自費出版のKindle本なんてこんなものか。

酒アン(酒アンインストール)なんて語呂の悪い造語を掲げた劣化版の『禁酒セラピー』じゃないか。

それが、本書を読んだ直後の正直な感想だった。

それなのになぜか読了したその日から、ボクはすっかりお酒をやめられてしまった。

「やめられてしまった」なんて被害者みたいな言い方だが、この表現が一番しっくりくるのだから仕方がない。

9月24日に本書を読み終わり、今この文章を書いているのが9月29日だから、お酒をやめてから6日が経過した。明日でちょうど1週間だ。

たったの1週間と思うことなかれ。

大学在学中から2018年9月23日までの十数年の間で、酒を飲まずに寝た日は本当に数えるほど。

500mlの発泡酒を2本、調子がよければ3本飲んで、眠くなってそのままベッドへイン。

それが日々のルーティンであって、長年染みついた習慣だった。

酒を飲みながら読書をしたり映画を見たりする人もいるようだが、ボクはすぐに眠くなってしまうので、なんとなくYouTubeを流したりネットサーフィンをするだけ。

ときには禁酒にチャレンジしたこともあったが、それも大抵は3日坊主で終わっていた。

量が少ないので友人に相談しても「そのくらい依存症じゃない」といわれていたが、どう考えても完全なアルコール依存症だったと思う。

過去の禁酒と今回の断酒で圧倒的に違う点がひとつある。

お酒を飲みたいという気持ちが、すっかり消え失せてしまったことだ。

これは禁煙に成功したときとまったく同じ感覚で、我慢しているという意識はまったくない。

むしろ酒と縁を切れたことに喜びすら感じていて、いつもなら酒を飲み朦朧としながらダラダラ過ごしていた夜の時間を、ブログを書いたり読書をしたり有意義に使えることに大満足している。

心なしか寝起きもよくなった気がするし、本書の本来の目的である体重も徐々に落ちてきている。

なんだか釈然としないが、とにかくボクはお酒をやめられてしまった。

禁酒に至った心の謎を解明する

おそらく酒を飲むことはもう一生ないんだろう、という確信がある。

しかし、「なぜ自分が酒をやめることができたのか」の謎を解明しなければならないと思っている。

そうでないと、万が一また酒に溺れてしまったとき、対処することができないから。

禁酒の謎がわかれば、ボクと同じようにお酒をやめたいと思っている人を救うことだってできる。

心のメカニズムが解明できれば、酒以外のほかの依存症でも応用できるはずだ。

ただなんとなくだけど、『禁酒セラピー』と本書は補完関係にあるような気がしていて、どちらか片方だけ読んでもやめられなかったんじゃないかと感じている。

もし今あなたがお酒をやめたいと思っているなら、騙されたと思って両方読んでみてほしい。

おしまい。