死にたいくらい、仕事が辛くてたまらない君へ

仕事が辛くて悩んでいる君へ

死にたいくらい、仕事が辛くてたまらない君へ

君にこうやって手紙の書くのは、はじめてだね。

まだ会ったこともないのに、いきなりこんなことを言うのはちょっとおせっかいかもしれないけど、今日はどうしても君に伝えことがあるんだ。

君はいま、仕事が辛くて辛くて、死にたいくらい悩んでいるんだよね。

本当に大変だったね。

だけど、もう大丈夫。

悩まなくていいよ。

目の前の仕事から、いますぐ逃げ出そう。

***

君は、お父さんお母さんや先生から、逃げることは悪いことだって教わったよね。

君は真面目だから、その教えをきちんと守って、辛くても逃げずに一生懸命頑張ってきたんだよね。

だけど、それは間違ってるんだ。

大人はウソつきで見栄っ張りだから、本当のことを言わない。

だから僕が教えてあげる。

逃げることは、何にも悪いことじゃない。

逃げることは、何にも恥ずかしいことじゃない。

逃げることは、どんな動物だって知っている、人間の大切な本能なんだよ。

***

君は、逃げることがどうして悪いのか、考えたことがあるかい?

もしかしたらまわりの大人たちからそう言われ続けて、信じていただけなんじゃないのかな?

大人たちから「逃げることは悪」と教わり続けたせいで、せっかく君の心が警告のサインを出しているのに、君はそれを無視しようとしているんだ。

大人たちだって、まわりの大人からそう教わったから同じように君に教えているだけで、どうして逃げることが悪いのか、きちんと考えたことなんてないんだよ。

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電通の新入社員の女の子が、仕事が辛すぎて自殺してしまったよね。

彼女は、きっと子どものころからお父さんお母さんや先生の言いつけをきちんと守って、逃げずに一生懸命勉強して東大に入ったんだ。

大学でも一生懸命勉強して、一流企業の電通に入ることができた。

でも、夢を叶えたはずの彼女は、突然死んでしまった。

彼女は逃げることを知らなかったんだ。

まわりの大人たちが、彼女に期待するあまり、逃げることの大切さを教えなかったんだ。

彼女もまわりの期待にこたえようと、自分の心が訴えていた警告を無視しつづけた。

そして、彼女はかけがえのない命を絶ってしまった。

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ケンタッキー・フライドチキンの創業者の話は知っているかい?

カーネル・サンダースがケンタッキーをつくったのは65歳のとき。

いろんな仕事で何度も何度も失敗して、65歳のときに無一文で、フライドチキンのレシピをアメリカ中のレストランに売り歩いたんだ。

でもおじいさんが飛び込みで「フライドチキンのレシピを買ってくれ!」なんて言ったって、誰も相手にしてくれなかった。

カーネルおじさんは何回くらい断られたと思う?

1009回!

1000回以上断られても、カーネルおじさんは諦めなかったんだ。

いや、ちょっと違うな。

諦めることができなかったんだ。

それくらい、自分のフライドチキンに自信を持っていて、フライドチキンを売る仕事が大好きだったんだよ。

君はいま、仕事が大嫌いだろう?

人間って、大好きな仕事だったら三日三晩寝ずにはたらいたって、全然平気なんだよ。

だけど大嫌いな仕事は、たった1時間でも途方もないくらい長く感じてしまう。

自分が心から望んでいることなら、人に何を言われたって、辞める必要なんてない。

もっと自分の心に正直に、大好きな仕事を見つけよう。

それが見つかるまで、何度だって逃げ出せばいい。

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大好きだという気持ちと、「すごい」って思われたい気持ちを、混同しないようにしよう。

君のお父さんとお母さんは、君が大好きに生きてくれることを望んでいるんだよ。

君が大好きに生きていたら、人から「すごい」って言われる必要なんてないんだ。

すごいすごい病にかかってしまったら、人生はどんどん辛くなるよ。

大好きに生きよう。

大好きに生きられる仕事が見つかるまで、どこまでも逃げ続けよう。

大丈夫。

生きていれば、人生は何回だって挑戦できるんだから。

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君は、伊坂幸太郎の『ゴールデンスランバー』という作品を読んだことがあるかい?

首相暗殺の実行犯に仕立てあげられた無実の主人公が、生きるためにどこまでも、ただひたすらに逃げ続けるお話なんだ。

逃げて逃げて逃げつづけて、最後彼はどうなったと思う?

しあわせになれたかな?

いいや。

顔を変え、姿を変え、最愛の人を捨て、彼に残ったのは、ただ生きているという事実だけ。

その後彼がしあわあせになれたかどうかなんて、誰にもわからない。

だけど、彼は生きている。

生きているからこそ、人生という最高のドラマのつづきを、楽しむことができるんだ。

何の障害もないドラマなんて、つまらないだろう?

逃げ出したことを今は恥ずかしいと思っても、それは君という名のドラマの、大切な1ページになる。

***

君にはまだ話してなかったけれど、僕は、ずっと逃げ続けてきたんだ。

高校から逃げて、大学から2回逃げた。仕事からも逃げ続けてきたんだよ。

どうしようもない奴だって思うかい?

でも、僕は生きている。

僕は簡単には死なない。

だって、逃げることを知っているから。

僕は何度も何度も挑戦して、失敗して、逃げたしてきた。

だけど生きているから、また挑戦することができる。

そして、成功するまで逃げ続ける。

もしウソだと思うなら、これから僕のことをよーく見ておいてごらん。

逃げて逃げて逃げ続けた人間が、どんなにすばらしい未来をつかむのか、最高におもしろいドラマを、君だけに見せてあげるから。

***

最後に、もう一度言うよ。

君はいま、生きている。

君の命は、目の前の仕事なんかよりずっと尊い。

逃げることは、カッコいい。

さあ、今すぐ逃げ出して、君の人生というドラマに、新たな1ページを刻もう。

仕事が辛くて悩んでいる君へ

ABOUTこの記事をかいた人

ニシムラ・ケイイチ

ブロガー。ライター。2016年8月よりブログ「古風礼賛」を運営(3万PV/月)。85年鹿児島生まれ。立教大(文)中退。ブログでは好きな本や映画、グルメなどを中心に紹介しています。書評や飲食店のインタビュー取材、雑誌・Webメディアでの執筆などお気軽にご相談ください。 ⇒ お問い合わせ